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高森明勅
2017.8.5 23:00

寝言の研究

安倍首相の自衛隊加憲論。

合憲の自衛隊を合憲化する為に憲法改正が必要」という寝言。

自衛隊が既に合憲で、しかも今のままで良いなら、
当たり前ながらわざわざ“合憲化”する必要なし。

従って憲法改正も必要なし。

これに対し、「戦力」未満で「非軍隊」の自衛隊を、
「一人前の軍隊」にしたいなら、
これまでの“制約”を解除する為に、
憲法改正が欠かせない。

だから、一先ず自衛隊「合憲」論を前提とする限り、
行き先は2つ。

自衛隊を今のまま維持するなら、改憲は無用だし、
むしろ有害(改憲を正式に提案して国会で否決されたり、
国民投票で承認されなかった場合のマイナスは、いかばかりか)。

つまり、憲法には手をつけない。

もし手をつけるなら、
これまでの「戦力」未満という自衛隊への制約
(9条2項)
を解除するのが当然。

自衛隊が今のままなら、憲法もそのまま。

憲法を改正するなら自衛隊は「軍隊」に。

そのどちらを選ぶか。

ところが安倍首相は、自衛隊を今のまま維持しつつ、
改憲は行う、
と。

こんな寝言に、拍手喝采する者らがいるという事実が、
一番の問題か。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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